貿易事務を希望されている方の中には楽しめる仕事なのか、それとも辛い仕事なのか気になる方も多いと思います。
私は現在メーカーの海外営業部に所属し6年間が経ちますが、そのうち1年間は輸出の貿易事務を担当したことがありました。
その経験を元に貿易事務の大変な点を話しつつやりがい・楽しいと思える点について述べていきます。
輸出の貿易事務の内容
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輸出の貿易事務の仕事は主に以下の通りです。
- 受け取ったオーダーの受注計上
- オーダーの内容を元に製造部や外注先に発注作業
- 客先への確定納期の通知、送金依頼
- オーダー毎の納期管理
- 出荷書類(Invoice, Packing list 他)の作成
- 運送業者への製品の製品出荷の依頼
- 売上計上
※会社によっては流れが異なるかもしれません。
私の会社ではこの流れの処理を同時並行でたくさん行っていくのが貿易事務の仕事でした。
ミスが許されない点は緊張感のある仕事である
発注の処理、納期の通知、輸出の作業等を通じた入力の作業が多くあります。
そのため、同時にたくさん件数をこなしていくとミスが発生してしまうことがあります。私が貿易事務をしている間にしてしまったミスは以下の通りです。笑
- 注文が来た製品と違う型式の製品を発注してしまう
- 発注する製品が多く、一部発注を忘れてしまう
- 仕向地を間違えて出荷してしまう
後々正しい内容で再発注をして利益がうまくカバーできたり、納期が守れたり、客先との約束が果たせるのであればあまり問題はないですが、大きい損失になってしまったり、客先の要求納期に大きな問題が影響が出てしまったりしてしまうこともありました。
私も上記のミスで何度か経緯説明書(始末書)を作成する事となりミスを防ぐためにどうすればよかったかを厳しく追及されました。
件数が多くどんどんさばいていかないと言うプレッシャーがあり、かつミスも許されないので辛いこともあります。
しかし、裏を返せばこれらのさばきがスムーズにできるようになってくると、様々な人から信頼され頼られるようになります。
この地域、この担当に関してはこの人に聞けば良いというような感じです。
ジョブをたくさんさばくと言う重要な業務をしているからこそ大変さがありますが、その中で人から頼られるとやりがい、楽しさを見つけることができる場合もあるでしょう。
※以下の記事では貿易事務の仕事はやめておいた方が良いのかをまとめております。こちらもご参照ください。
客先の様々な要求にも答えていかないといけない
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普通のオーダーをさばいていくだけならいいのですが、以下のような特殊なケースもたくさん発生します。(あくまで一例です)
- 受注製品が特殊で製造現場・営業と再調整しないといけない
- 急ぎの要求納期に対して製造現場と交渉する
- LC(信用状)による製品出荷を行う
これらのような対応を同時並行で行なっていきます。
しかしこれらのイレギュラーの仕事ができるようになると上記のように社内で信頼がおかれるのと同時に客先からも徐々に頼られる存在となります。
かつ銀行を経由したLC(信用状)による出荷であったり特殊な輸送形態に慣れてくればより自身の貿易に関する専門性を深めることができます。
結局、事務系の仕事は将来AIに仕事を奪われてしまうと言う議論がありますが、AIは専門性のある人でないとチェック機能がないので使いこなせないと考えます。
培った貿易の知識はやはり重宝されるものであり、その知識を蓄えることで会社内ではなくてはならない存在になります。
※Chat GPT等、AIの発達により貿易事務の仕事がどうなってしまうのか以下の記事にまとめております。もし興味があればご参照ください。
担当した国の事情に精通することができる
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貿易事務をすることで担当した地域の国の事情に精通することができるようになります。
私は貿易事務をしていた時はインドを担当していたので以下の様な点に気がつきました。
- インドでは出荷時に契約書でガチガチに記載して貿易で利益を得ようとしてくる傾向があり、こちらも気がぬけなくなる。
- インド人はのんびり気質であり、自社や自分に感心のあることしかしてくれないことがある(こちらが得たい情報は何度も催促して聞く必要がある)
- 日本とインドでは国家間で友好関係を築いているため、特定原産地証明書を提出することでインドで日本製品の関税をなくすことができる
上記の様にインド人と取引をすることで様々な事情を知ることができ、これらに精通することで地域的な専門性を高めていくことができ、貿易の業務に関わる楽しさを実感することができます。
まとめ
以上、貿易事務の仕事内容そして辛い点とやりがいに関して紹介しました。
※その他、貿易事務の仕事に関して、以下の記事でもまとめております。
全ての職場で上記のように信頼関係ができるとか、そう言ったことは言い切れませんが、肝心なのは継続して頑張り続け、そして一つ一つの業務に慣れスムーズにできるようになることです。
そうした中で徐々に仕事の楽しさと言うものを発見できるかもしれません。
担当した各国の事情を知れることも醍醐味の一つです。
以上、貿易事務を検討している方に参考になれば幸いです。
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