これから物流業界(海運・空運会社)の就職を検討している人はいるかもしれません。
その中で物流業の仕事内容ややりがいは何か気になる方もいるかと考えます。
私は新卒で物流業の会社に就職してから3年間以上営業職に従事していた経験があります。
私の物流業界での経験を元に物流業界について、物流業界での営業職の仕事内容、やりがい等についてお話ししていきます。
物流業界の仕事とは
物流業の仕事についての大まかな仕事は以下の通りです。
※輸出の場合を想定してお話しします
- メーカー、商社、同業他社と関係を築く
- 上記の会社より海外への貨物輸出の見積もり依頼を受け、見積もりを提出する
- 上記の会社より見積もりがOKであればオーダーを受ける、そして海外輸出に必要な書類を受け取る(Invoice, Packing list等)
- 貨物の引き取りを依頼して貨物を港、空港付近の倉庫まで運送してもらう
- 船会社、航空会社に貨物のスペース予約する
- 通関部隊の人に上記受け取った書類を渡し輸出通関申告を依頼する
- 出航日にBL、Air waybill (貨物の輸出先現地での引換券のようなもの)を作成し客先に渡す。
- 税関から発行される輸出許可証と請求書を客先に渡す
- 現地の取引先代理店に輸出品の情報を渡して現地の貨物引き取りへの対応を依頼する
上記の通り、輸出において必要な手続きをメーカー、商社に代わって行い、実際に製品を仕向地に輸出する作業を行う仕事です。
※輸入の仕事も引き受け、貨物の輸入手続も同様に行います。
物流業界で身に付く貿易の知識
輸出、輸入の代行手続を行い実際に貨物の出荷、受け入れを行うので各国の地域の物流事情に精通することができ、また輸出に必要な手続きについて業務を通じて学ぶことができます。
例えばインドを含む中近東の地域への輸出においては、銀行を介した信用状決済(LC決済)が行われることが多くあり、特殊な対応(銀行から発行される信用状に沿って書類を作成する等)をしないといけなかったり、
また国によって輸出の際に現地の貨物受け入れで必要な書類、記載内容等が異なっていたりします。
たとえばインドでは日本産の製品であることを証明する特定原産地証明書と言う書類をインド現地の税関に提出することでインドでの関税が免除されます。
こう言った知識を経験を通じて学ぶ事で貿易における専門的スキルを身につけて行くことができます。
物流業界の人が持っている地域特有の貿易手続きの知識はメーカー、商社からも頼りにされる貴重な情報となります。
物流業界での営業活動について
私がしていた物流業での営業についてお話をします。
顧客の開拓・顧客との関係構築が主な仕事でした。
毎日平均3-5社ぐらいメーカー、商社、同業他社への訪問をして関係構築を図っていきます。
以下、既存顧客、同業他社、新規顧客への関係構築についてお話しします。
既存顧客へのアプローチ
既存顧客とはすでに過去オーダーを受けたことがあり、すでに自社のサービスを使ってもらっている客先です。
今後も継続してオーダーをもらえる様に関係構築をしていく必要があります。
と言うのも物流業を営む会社と言うのはそれこそ星の数ほどあり、少しでもサービスに不満があると平気で競合にオーダーが流れていってしまう可能性があります。
顧客のサービス満足度を確認するため、他社にオーダーが流れない様監視するため、既存顧客との関係構築は必須な仕事です。
また、既存顧客は地域や扱う製品によって物流業者を使い分ける傾向にあります。
そのため既存顧客の更なる開拓も期待できます。
同業他社へのアプローチ
あまりイメージがつかないかもしれませんが物流業界では海運・空運会社同士の横のつながりが深く各社の協力し合う体制にあります。
と言うのも商社、メーカーからの貨物だけだと例えばまだまだコンテナなどに空きのスペースがあるため同業他社からも貨物を引き受けて同梱して出荷を行います。
また船会社、航空会社に多くのコンテナ(やスペース)を予約する事でたくさん割引を受けることもできます。そのため多くの物量を望める同業他社への営業に特化した海運・空運会社も存在します。
ただ同業他社へは、メーカー、商社とは違い特別割引価格を適用しているケースがほとんどなので、同業他社貨物だけの出荷になると薄利のなってしまう可能性があります。
なので同業他社の貨物で収益をあげるにはそれだけの量もないといけません。
新規顧客へのアプローチ
既存顧客の開拓とともに新規顧客(主にメーカー・商社)への開拓も同時に行います。
新規顧客への開拓方法はいくつかありますが、代表的なのは以下の3つです。
- 他国から自社を指定されて一度自社サービスを利用した経験がある会社にアプローチ
- 他の事務所、海外現地法人等から紹介を受けてアプローチ
- 全くのコネなしによる新規アプローチ
上記の様な方法を通じて新規顧客を増やす営業活動を行います。
新規顧客の獲得とやりがいについて
上記紹介した顧客の中で1番評価されるのは新規顧客の開拓です。
おそらくほとんどの海運・空運会社も同じでしょう。
新しい取引先が増える事で会社としても○○会社と取引があると箔を付けることができます。
私事ではあるのですが、新規開拓を通じて会社に評価される機会がありました。
私はJETRO(日本貿易振興機構)が発行している海外進出日本企業リストがあるのですが、そのリストを元に片っ端からメーカー、商社に新規のセールス電話を行いました。
1日多い時で10-30件くらい電話をしていて、断られる事がほとんどなのですが2-3件くらいアポが取れると言った感じです。
たとえセールス電話だとしてもメーカー・商社は運送業者に対しては基本興味を持っていることが多く、話を聞いてくれる担当者もいます。
私はセールス電話は特に抵抗がなくできるタイプだったので日々電話をしていく事で、新規でのアポが増え、新規のオーダーが増えてきました。
その結果、その成果が会社のトップの目に触れ、その翌年から駐在員として香港に転勤する機会を頂くこととなりました。
仕事が取れることで会社の業務が回っていくことを実感できるのは大きなやりがいでした。
海外出張・駐在のチャンスは多い
実際、海運・空運会社は業界の特徴から海外に現地法人があることが多いので、海外への出張・駐在の機会は多いです。
もし将来海外駐在をしてみたいと志があるのであれば物流業界に就職するのも良いかもしれません。
もちろん滞在する国は会社の意向が強く反映されるので自分で国を選ぶことは難しいですが、非常に貴重な経験を積む事ができます。
まとめ
以上、海運・空運会社の業界について、また営業の仕事内容とやりがいについて紹介しました。
貿易の知識も身につき、成果を上げる事で海外出張・駐在の機会もあり、楽しめる業界ではないかと感じております。
今後物流業界を検討している方に参考になれば幸いです。
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