就職先選びはよく「結婚」に例えられます。
20年間、30年間のキャリアを見据えて、長く勤められる会社に勤めたいと言うのは、就活・転職活動をしている方の望みではないでしょうか。
そして「語学を使える環境で仕事をしたい!」ということで貿易事務の仕事を志望する方もいると思います。
しかし、昨今AIの発展により「将来貿易事務の仕事がなくなってしまうかもしれない」、
そして「長期的なキャリアを築く事ができないかも」と危惧される方もいるかもしれません。
でも貿易事務の仕事は形は変われど、私個人的には貿易事務の仕事がなくなることはないと考えます。
私は物流業の会社に3年勤めたことがあり、メーカーの海外営業部に6年間勤めて仕事をしております。
どちらの職場でも営業の仕事をメインで行ってきましたが、メーカーにいた時は1年間貿易事務の仕事に従事したことがあります。
そして常に貿易事務の担当員と一緒に仕事をしているので仕事内容に関しては熟知していると考えております。
私の経験則から、貿易事務の仕事がなくならない理由について述べていきます。
※メーカー・商社の貿易事務を想定して記事を書いていきます。
AIが発達しても貿易事務の仕事はなくならない
現在、あらゆる分野でオートメーション(自動化)が進んでいき、パソコンへの入力・書類の作成など事務処理系の仕事は今後無くなるのではと言われるようになってきました。
貿易事務の仕事に関してはどう言う点が該当しそうでしょうか。
貿易事務の仕事内容
貿易事務の仕事内容は、事務作業の仕事が想定されますが、客先に寄り添い貿易に必要な手続きをすることがメインの仕事になってきます。
具体的には日本と海外の間で商品を輸出入する時の手続きに必要な書類の作成、案件管理、発注等の作業をします。複数案件を同時並行でこなしていきます。
貿易事務の仕事のどの点が自動化されそうか
今後自動化されていきそうな仕事はやはり以下のような事務作業でしょう。
- 貿易に必要な書類を作成
- 受注・発注の際の入力作業
- 案件の管理(発注の有無、納期、出荷日等)
単純な入力作業、書類作成の仕事はどんどん自動化され、なくなって行く傾向にあります。
上記のような作業は完全にはなくならない
しかし上記のような事務処理の作業は完全にはなくなることはありません。
一つ一つみていきます。
- 貿易に必要な書類を作成
確かに定型的な貿易書類の作成は無くなる可能性がありますが、
たとえばインド地域では貿易書類(例:輸出に必要なInvoice, Packing list等の書類)の作成の際に、インド通関の要求・客先の意向にしたがって、送り先の住所、HSコード(製品を識別分類するコード)の記載場所等細かい指定が入ります。
また、銀行を経由した貿易形態のLC(信用上)決済には、この文言を出荷書類に必ず入れないといけない等の指定がはいります。
そしてそれはインドの客先ごとに要求してくる書類が異なります。
これらの書類を客先の要求・銀行の要求に合わせて変えて行く作業というのは、いくらAIが優秀だとしても、完璧に作成するのは難しいと考えます。
もしAIが代わりに作成できたとしても、必ずこちら側で意向が100%反映されているのかチェックする機能が必要となってきます。
- 受注・発注の際の入力作業
受注・発注の作業に関しても単純な作業は自動化され、おそらく注文製品のシステムへの入力作業は必要なくなると言えるでしょう。
ただ、こちらも客先要求によりさまざまな製品の特注が要求されます。
その要求に応じて発注元や会社の技術部門に特注が可能かどうか確認し、客先との妥協点を見つけて行く作業が発生します。
そういったコミュニケーションスキルが求められる作業はたとえAIが発展したとしてもなかなかなくならないと考えます。
- 案件の管理(発注の有無、納期、出荷日等)
案件の管理に関してもAIが発達する事で、より見やすく、わかりやすく管理がなされて、変更作業等も楽になるでしょう。
しかしこちらも客先の都合、製造部門、発注元の都合による様々な意向により常に変更が加えられてきます。
たとえば客先はある案件とある案件を両方優先して製造してほしいと要求をしてきます、しかし発注元や製造部門はたとえば昨今のコロナの状況により半導体不足が発生して、顧客の要求通りに変更できずどちらか一方であれば優先して製造できる場合があるとします。
そう言った場合、客先に真意を聞いて、どの案件が本当に優先されないか詳細に聞いていかないといけません。
こういった妥協点をみつける作業は、AIが発達してもなくなることはありません。
結論①コミュニケーションスキルが必要な仕事はなくならない
たとえAIが発達したとしてもコミュニケーションスキルが求められる仕事はなくなることがありません。
上記のように貿易事務の仕事にはいたるところにコミュニケーションスキルが求められる場面が出てきます。
おそらく形式的な簡単な注文の処理等はどんどん自動化されていき、そういった作業をすることはなくなりますが、今後板挟みになって妥協点を探るようなコミュニケーション能力が求められる仕事はなくならないと考えられます。
結論②AIの作業が100%正しいとは限らない
今後事務作業の自動化がどんどん発達しても、それが100%客先の意向、製造部門、発注先等の意向を反映させたものであるかは、誰かが最終チェックしなければなりません。
そしてそのチェックする人は貿易に関して熟知している人でなければなりません。
それら要求が全部が完璧に反映されているかどうかチェックをしないで、その書類で決定して進めて行くのはリスクが高いです。
かならず人の目で最終確認してOKであれば進めて行く事ができるようにするべきです。
貿易事務がなくなっても別の仕事でスキルを活かせる
万が一貿易事務の仕事がなくなってしまったとしても、その経験を通じて培った能力というのは別の職種でも活かす事ができます。
それはもしかしたらAIが発達してもそうそうなくならないと言われている営業の仕事で活きるかもしれません。
営業の仕事はまさに顧客とのコミュニケーションを通じて顧客の要望を反映させた案件を受注する仕事で貿易事務が行なっている仕事とも共通点があります。
また営業としては製品を輸出入するときに、どれくらい製造納期がかかるのか、どういった輸出入の手続きが必要なのか等の貿易事務の知識を知っている事で客先に詳細に製品の流通を提案したりすることができます。
どう言った地域にどういう製品を輸出するときは、この資料・書類作成方法が良い等のコンサル的な仕事もできるかもしれません。
まとめ
以上、AIが発達する事で貿易事務の仕事がなくなってしまうのかについてお話ししました。
簡単な事務作業はなくなってしまうかもしれないですが、客先の要求を反映させてシステムに反映させて行くようなコミュニケーションが求められる作業は早々にはなくならないと考えます。
今後貿易事務を志望されている方に参考になれば幸いです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
それでも貿易事務の仕事はやめておいた方が良いのではないかと考えた方はこちらの記事も参照してみてくださいね。
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