「英語を勉強したので語学を活かせる貿易事務の仕事に就きたい!」と志望しても、「貿易事務の仕事はやめておいた方が良いんじゃない」と周囲の人に言われたことがある方もいるかもしれません。
貿易事務と聞くと語学を使う仕事なのできらびやかな印象がある反面、直感的に色々こき使われブラックな業種なのではないかと想像してしまう人もいますね。
貿易事務の仕事は業種、客層、社内の風土にもよりますが、確かに貿易関係の仕事は業種柄、激務な傾向があるかもしれません。
しかし同時にやりがいのある仕事だとも思っております。
私は物流業の会社に3年勤めたことがあり、メーカーの海外営業部に6年間勤めて仕事をしております。
どちらの職場でも営業の仕事をメインで行ってきましたが、メーカーにいた時は1年間貿易事務の仕事に従事したことがあります。
そして常に貿易事務の担当員と一緒に仕事をしているので仕事内容に関しては熟知していると考えております。
私の経験則から「貿易事務の仕事はやめておいた方が良い」と言われる理由、そして逆に良かったと思える点について述べていきます。
貿易事務の仕事はやめておいた方が良いのか?
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貿易事務の仕事は一概には「やめておいた方が良い」と決めることはできません。
これを決めるには所属する会社の持つサービス、製品、そして担当する地域、会社内の風土等様々な要素があると考えます。
しかし貿易事務の仕事はどれも貿易に関わる仕事であると言う共通点がありその中で共通の辛い点もしくは良い点が存在します。
貿易事務の仕事内容とは
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貿易事務の仕事内容は、事務作業の仕事が想定されますが、客先の意向に寄り添い貿易に必要な手続きをすることがメインの仕事になってきます。
具体的には日本と海外の間で商品を輸出入する時の手続きに必要な書類の作成、案件管理、発注等の作業をします。
複数案件を同時並行でこなしていきます。
商社、メーカー、物流会社など業種によっても若干仕事内容は変わってきます。
貿易事務の仕事はやめとけと言われる理由
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以下、一般的に貿易事務の仕事がきついと言われている理由についてお話しします。
ミスが許されない
貿易事務の仕事はたくさんの案件を同時並行でさばいていきますが、ミスは許されません。
一度ミスをすることで会社の信用を失ったり、顧客が離れて言ってしまうような取り返しのつかない結果になる可能性があるからです。
例えば物流会社の貿易事務担当者が、急ぎの貨物を中国の上海に手配するのを間違えて、香港に手配してしまったことがありました。
すでに香港についてしまったので、一度日本に戻すのか、それとも上海まで飛行機で横持ちするのか等検討して、
その結果余計な費用や日数がかかってしまいました。
こう言うことがあると客先のメーカーや商社も納期に間に合わず違約金が発生してしまうこともあり、2度とサービスを使ってくれなくなるかもしれません。(この時は幸い急ぎの貨物ではなかったので後々大きな問題にはなりませんでした)
多くの仕事をさばいていくと人間誰しもミスは起こしてしまいますが、ミスの内容によっては責任を大きく問われる仕事となります。
残業は多くなりがち
貿易事務の仕事は会社の風土等にもよりますが一般的に残業が多くなりがちと言われます。
多くの案件をさばいていき、どれもその日までに処理しないといけない案件だったりするので、仕事に追われ結果残業が多くなってしまいます。
私もメーカーの貿易事務の仕事をしていた時はこの日までに発注作業していないといけない、急ぎの貨物なので輸出書類をこの日までに作成して、輸出手続きまでしないといけない等日々仕事に追われていました。
結果残業が増えてしまう傾向にありました。
To do listを活用して仕事内容を整理しながら優先順位の高い仕事から処理していくなど効率的に行う必要があります。
不可抗力な状況でも責められる
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貿易に携わる仕事なので予期せぬ事態が発生して、どうにもできないことが多くあります。
それは例えば物流会社の貿易事務に従事していて、台風や積雪等で貨物の輸送ができなかったり、船や飛行機が遅延して貨物が予定通りにつかなかった場合などです。
しかし貨物が予定通りの日程で着かないと客先の生産ラインに影響が出たり、契約内容を守ることができなかったりして、たとえ不可抗力な状況でも輸出者に罰則が発生することもあります。
それにより理由に関わらず責任を問われる可能性があります。
注文を多くもらっていたり、立場上客先の方が上だったりすると理不尽な要求でも、
常に最適な方法を模索し続けないといけないのでその点が大変です。
給料は業務量の割に見合っていない
貿易事務の給料が業務量の割に見合っていないことがあります。
会社によっては賞与が出なかったり残業代が全額は出なかったりすることがあります。
私が一社目に勤めた物流会社は残業代は一切出ず、それでも営業担当も貿易事務担当も20時以降まで残業していました。
さらに賞与支給もない会社だったので、新入社員の貿易事務の年収は300万円くらいでした。
今では社会的に労働環境も是正される傾向にあり、こう言った会社は徐々になくなって行くと思いますが、それでも会社によっては見合った給料がもらえない可能性もあります。
しかし貿易事務と言っても会社によって様々な給与体系があり千差万別で、私がメーカーで貿易事務をしていた時は年収500万円を超えていました。
給与が低いことで悩んでいるのであれば別の貿易事務ができる会社に転職すればこう言った問題は解決されるかもしれません。
思った程語学力が活かせないことも
貿易事務を志望されている方は語学が使える環境を志望している事がありますが、思い描いたような語学力が活かせないこともあります。
物流会社の貿易事務の場合は、客先は日本のメーカーや商社であり客先とのやり取りは全て日本語となります。
英語もメールがメインとなります。
外国人と会議で英語で交渉しているのを思い描いている方には物足りなく感じるかもしれません
また、メーカーの貿易事務でも担当する地域が韓国や中国で、取引先の担当者が流暢に日本語を話すことができたりすることもあります。
その場合も外国語を使う必要がないので物足りないと感じる人もいるかもしれません。
成果は全て営業に持って行かれる
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貿易事務の仕事は特に営業のように受注・売上の数字が求められることはありません。
どんなに営業に貢献してロジスティックの面からサポートしても、受注金額で評価されるのは営業担当です。
例えば受注した製品の納期短縮に貢献した、製品輸出の際にスムーズに銀行を経由した複雑な信用状決済を行ったとしても、その活動が直接的に評価されることはありません。
貿易事務担当によっては評価されないことにより辛いと感じるかもしれません。
以上、貿易事務はやめとけと言われる原因についてお話ししました。
貿易事務をやってよかったと感じる点
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今まで貿易事務の仕事のネガティヴな点について述べて来ましたが、やっていて良かったと思える点もたくさんあります。
マルチタスクができるようになる
貿易事務の仕事は案件を同時並行でどんどんさばいていくことがメインの仕事なので仕事が効率よくできるようになります。
私がメーカーで貿易事務をしていた時の話ですが、貿易事務になった直後は仕事のスピードも遅く毎日20-21時まで残業をしていましたが、
やはり半年と経過していくと、重要な案件、後回しにしても良い案件等の見分けがつくようになり、残業が減り19時頃には帰れるようになって来ました。
やはり多くの仕事を同時並行でミスなくさばくというのは大切なスキルの一つですし、
それにより会社からも信頼を得られるようになり、「この地域の業務はこの人に任せれば問題ない」と言うように評価されることもあります。
※昨今、Chat GPT等の登場により、AIが将来的に仕事を奪うのではないかと心配になる方もいるかもしれません。そんな中、貿易事務はAIに仕事を奪われてしまうのかという記事も書いており、興味がありましたらご覧ください。
貿易の知識が身につく
貿易事務の仕事を長く行なっていくと、さまざまな貿易の知識がついていきます。
それはイレギュラーな対応をすればするほどそう言った知識は増えて行きます。
私が貿易事務をしていたときに担当していたインドでは輸出書類を作成する時にさまざまな記載の要求が出てきます。
例えば製造国の記載、製品名の記載、HS code (製品識別コード)の記載等の要求です。
銀行を経由した信用状による売買の決済だと輸出書類の記載方法に指定があるので、その客先の要求を受け入れられないこともあり、
妥協点を見つけて客先の要求通りでかつ信用状にも沿った輸出書類を作成します。
これらの作業は習得に時間がかかりますが、こういう複雑な形式の貿易書類が完璧に作れるようになったり、
他にも様々な貿易の実務がこなせるようになる事で
専門的知識も経験を通じて身につくようにようになります。
結果、会社から同様に信頼を得ることができるようになりますし
こういった貿易の知識の習得は転職をする上でも役立ちます。
様々な解決のノウハウを身につけられる
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長い期間貿易事務の仕事をしていると地域の事情に精通して、トラブル発生した際の解決のノウハウをたくさん持つ事ができます。
たとえばインド地域を担当すると貿易の際にトラブルが多く起こるので、長く担当していると相当鍛えられます。
私がインド地域を担当していたときは輸出時の特徴として、インド現地に貨物がついた際、その翌日から貨物保管料が保税倉庫で発生するので(通常は別の国だと一週間無料の保管期間がつく)、出荷書類の送付は迅速に行わないといけなかったりします。
なかなか貿易書類がスムーズに現地に送れずトラブルとなる事が多いです。
またインド地域を担当すると受注後に受注製品の型式・数量の変更が頻繁にあったり、しまいには保留・キャンセルになってしまうことも日常茶飯事です。
その場合は製造部門や発注先と製造状況を確認して取引先と妥協点を見つけるしかありません。(キャンセル時に着工してしまった分は買取させるかなど)
このようにインド地域を担当すると常に様々なトラブルが発生するので色々な対処法を覚えていってしまいます。
インド地域を例にしましたが、長く貿易事務の仕事を続ける事で様々な解決のノウハウを蓄積させていくことができるようになります。
このスキルも同様に、会社からの信頼を勝ち取る上で役立ちますし、転職においてもアピールできる点となります。
各国の取引先と仲良くなれる
貿易事務の仕事をしていると各国の取引先と常にコミュニケーションを取ることとなります。
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やはり長きにわたってやり取りを続けていくと担当者とも人間関係ができてきます。
私はインドを担当していたときはよくWhatsApp でインド人とやり取りをしていたのですが、仕事とは関係ないやり取りも多くするようになりました。
こう言うやり取りを通じて現地担当者と仲良くなることで、相手の国の文化にも触れることができて色々な事情を知ることができるし、
信頼しあって仕事ができるので、より仕事が楽しくなります。
WhatsApp で交流するのは賛否両論ありますが、こう言った交流や海外の人と信頼関係を築いて仕事をしていけるのは、貿易事務ならではのことかなと考えます。
その他、貿易事務の仕事のあるあるに関しては、こちらの記事を参照してくださいね。
まとめ
貿易事務の仕事はやめとけと言われることは多いと思います。
確かに私が羅列したように辛いことはたくさん出てきます。
しかし継続して貿易事務の仕事を頑張ることで、貿易の知識に精通したりさまざまな問題解決のスキルが身につくようになります。
もちろん仕事の相性にもよりますが、わたし個人的には貿易事務の仕事はやめておかない方が良いのではないかなと考えております。
以上、貿易事務の仕事について興味のある方に参考になれば幸いです。
最後まで読んで頂きありがとうございます!
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